老人ホームの費用は生活費との合算で考える


親の介護が子どもである自分にとって金銭的、体力的な負担を強いられるように、みなさんが要介護になったときに子どもに面倒を見てもらうことは、子どもにとって大きな負担になります。「本書を手に取り、今から老後の生活にきちんと備えようとしているみなさんであれば、「介護で子どものライフプランを狂わせてしまった……」というのはきっと本意ではないはずです。子どもに迷惑をかけないために準備しておきたいのが、ズバリ、お金です。

お金があれば、いざというときに在宅介護ではなく老人ホームに入居するという選択肢がとれますし、その際に入居する老人ホームの選択にも幅が出てきます。何り、「目がないから在宅介位しかない」というのと、「お金がないわけです。」費用はないけれど在宅介護で頑張ろう」というのでは介護する側も、介護される側も、気持ちの余裕が大きく異なります。

第3章で述べたように、一口に老人ホームといっても、特別養護老人ホーム、有料老人ホームなどさまざまな種類があります。

たとえば、標準的な有料老人ホームの場合、介護度にもよりますが、毎月かかる費用は8~3万円程度というところが多いようです。これを高いと感じるか安いと感じるかは人それぞれでしょうが、忘れてはならないのは、この中には通常、生活していくうえでかかる食費や光熱費なども含まれる、ということです。

ざっくりとした内訳としては、居住にかかる部分(家賃、光熱費、通信費など)に9~1万円、食費に5~6万円、介護費用として5~6万円(公的介護保険の自己負担分+上乗せの介護費用)、その他の洗濯代や散髪代などの諸費用として0~2万円といったところ。持ち家のある人にとっては割高感がありますが、賃貸暮らしで、家賃2万円のレーションを川で川稲万円の老人ホームに入居した場合、差額の3万円が食費や光熱件そして肝心の介護にかかる費用ということ。重い体を押して食事を作る手間や周りの人に作ってもらうことの心理的負担を考えれば、それほど高い印象ではないかもしれません。とはいっても、要介護者が増え、担い手が不足していることから入居できる施設のキャパシティーには限界があります。2014年には180万人もの人が「介護難民」になるともいわれている時代。

こうした施設に入りたくても入れるとは限りません。「追い出されずに終の住処にできる施設がいい」「個室のある施設がいい」「上乗せ介護サービスの充実した施設がいい」こんな細かいリクエストを叶えようとなると、当然ながら毎月の費用もより多く求められることに。入居時に支払う一時金が、数百万円に及ぶのもめずらしくありません。悲しいかな、格差社会は老後においても例外ではないのです。